オルガル流かわいさの秘密〜VRを意識したフェイシャルアニメーション編〜
みなさん初めまして、2014年入社の小林と高石です。 現在はオルタナティブガールズ(以下オルガル)というゲームでCGアニメーターをし ています。 今回はフェイシャルアニメーションについて書かせていただきます。
フェイシャルアニメーションとは
フェイシャルアニメーションとは、3Dモデルに表情をつける作業の事です。 体の動きや声のトーンに合わせてキャラクターに喜怒哀楽の感情を与えていきます。
同じ動作でも表情があるのとないのとでは、大きく印象が異なります。
フェイシャルアニメーションの手法としては、様々な選択肢がありますが、 オルガルではブレンドシェイプを採用しています。 図のようにいくつもの表情モデル(ターゲット)をブレンドすることで豊かな表情を作り出しています。
実際のフローと作業内容の紹介
ここからは作業内容を交えながら、オルガルで行っている フェイシャルアニメーションの工程についてお伝えします。 フェイシャルアニメーターは、以下の図のようなフェ イシャルエディタと呼ばれる社内ツールを使用します。 目・まゆ・口・パーツなどそれぞれのパラメータを操作し表情をつけていきます。
以下の図の様に、フェイシャルエディタで大まかな表情をつけた後 グラフエディタ上で値を調整する工程を経てフェイシャルアニメーションが完成します。
1.キャラに合わせた表情選定
まず最初にボディモーションの動きや音声、キャラクターの性格に合わせてその時々にあった表情を作成し入れていきます。 例えば以下の図のフレームに表情を入れるとしましょう。このシーンでは有村詩音が「はい、アーン♪」というセリフと共にユーザーに対してお弁当のおかずを差し出す動作をしている場面です。この場合の表情として考えられるのは、「優しく微笑みかける表情」や「少しツンとし照れた表情」などが考えられるのではないでしょうか。今回、詩音ちゃんは「やさしいお姉ちゃん」という性格であるため少しまぶたと眉毛を落とし優しく微笑みかける表情を選びました。
2.ラフの表情付け
上記で行ったようなキャラの仕草にあった表情を選定、瞬きなどのタイミングを調整し表情付けを行います。
3.ブラッシュアップ工程
フェイシャル挿入前(上の動画) フェイシャル挿入後(下の動画)
ブラッシュアップ工程では主に、声優さんの声のトーンや間をよく聞き、ボディーモーションに合わせて演技を入れたり、表情やタイミングといった全体の最終調整を行っていきます。
以上の工程を経て、オルガルのフェイシャルモーションが完成します!フェイシャルをつける前と後を見比べると一目瞭然ですね。フェイシャルを入れることにより、よりキャラクターが生き生きとしていることが見て取れます。今回お見せした工程で、短いものだと30Fから長いもので3000Fを超えるモーション一つ一つに手作業でフェイシャルをつけています。キャラクターそれぞれの表情にも是非注目してください!
フェイシャルアニメーションで大事なこと
他にも、私たちが普段からフェイシャルをつける上で意識しているポイントを紹介します。
違和感を排除する
まず、何よりもユーザーに違和感を与えない事です。多少のデフォルメや漫画的表情をすると言っても、頭身の高い人型のキャラクターなので体の動きに合わない表情の変化をしてしまうと違和感が生まれてしまいます。
例え小さなズレでも、実際にアプリ上で見てみると想像以上に大きな違和感となってユーザーに伝わってしまいます。時には瞬きを入れる場所を1フレーム単位で調整したりもします。