10周年を迎えるモバイルゲームのフロント開発の軌跡
サイバーエージェントのゲーム・エンターテイメント事業部(SGE)に所属する株式会社QualiArtsでフロントエンドエンジニアをしている小阪です。本記事はQualiArtsの定期ブログ「QualiArts Tech Note」第11弾の記事となります。QualiArtsでは会社で使われている様々な技術の知見をブログで紹介しています。興味のある方は他の記事もチェックしてみてください。
はじめに
「ファーミー」というゲームをご存知でしょうか?今年の12月で10周年を迎えるQualiArtsが開発運営を行う農園ゲームです。実は10年続くゲームというのは業界でも稀で、古くからの根強いファンに愛されロングヒットをし続けるQualiArtsの主力ゲームタイトルの一つです。
「ファーミー」がリリースされた2011年、スマホはまだ20%程度しか普及しておらず、いわゆるガラケーがまだまだユーザーの大多数を占めていたので、「ファーミー」も当初はガラケー向けブラウザゲームとしてリリースされました。
そこから約10年、端末は驚くべきスピードで進化し、それに伴って画面で表現 できることや 通信容量、処理スピードなどが大きく変わり開発の手法も大きく変化していきました。
今回はそんな「ファーミー」のフロント開発の歴史とともに開発手法がどのように変化していったかを振り返りながらご紹介いたします。
フェーズ1ガラケー時代
一部、リトルフェローズという「ファーミー」で人気がある動物のきせかえのようなコンテンツを例に話を進めていきます。(厳密にはリトルフェローズはガラケーにはなかったコンテンツなのであくまで例として捉えていただければと思います。)
フロント開発におけるスマートフォンとの大きな違いを4つ
- テンキー十字キー操作のみ
- 容量制限
- JavaScriptが使えない
- 非同期画面更新ができない
一つずつ比較して見ていきましょう
テンキーと十字キー操作のみ
農園ゲームですので作物を植える場所を選んで、そこから植えたい種を選んで植えるという作業があります。スマホに最適化されたUIだと数タップで完了しますが、ガラケーの場合リストの位置次第でとんでもない回数のボタン操作が必要となります。図のように別のリンクなどが入り込むとその回数はさらに増えます。この操作性で苦労するのは開発側というよりどちらかといえばユーザー側でした。今こんな操作性のゲームをリリースしたらユーザーは絶対にすぐ離脱してしまうでしょうね。