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QualiArtsengineer blog

QualiArtsの開発ディレクターの役割

QualiArtsの開発ディレクターの役割

5 min read

はじめに

株式会社QualiArtsで開発ディレクター(以降、開発D)をしている新見です。

2021年6月リリースの「IDOLY PRIDE」の開発に携わり、開発全体におけるスケジュールや品質の管理をしています。 本記事では、開発Dの役割について紹介をさせていただこうと思いますが、開発Dと言っても、会社によって役割の違いは様々であり一般的には断言できるものではありません。その上でQuaiArtsでは2022年6月に、開発Dに求められる役割の言語化を行いました。言語化に至った背景や言語化した役割の内容について紹介します。

2019年のQualiArts Advent Calendarでも開発Dの役割について紹介をしているので、そちらも読んでいただけたらと思います。 QualiArts Advent Calendar:開発ディレクターとしての役割

開発Dの歴史

QualiArtsでは、開発Dという役職が2015年に新設されました。 当時、ブラウザゲーム開発からネイティブゲーム開発へシフトしていく中で、今までに比べ開発規模が大きくなり、各職種のリーダーが1人で開発管理、品質管理、技術判断、チームマネジメント、スケジュール策定などを行うのが難しくなってきました。

そこで「開発管理」と「品質管理」に責任をもつ役割として、開発Dを新設しました。 各プロジェクトの状況によって、担っている役割は違います。

  • 必要に応じてAPI実装、管理画面の実装、インフラ構築をする
  • 必要に応じて画面実装をする
  • 事業課題を把握し、事業の課題解決に向き合う

開発Dを新設してから約7年が経過し、今では開発全体のリーダーとして開発Dが浸透しており、プロダクト開発の重要な役割を担っています。

言語化の背景と目的

2015年に開発Dを新設してから7年が経ちました。 最近では、開発Dを目指したい、興味がある、と言ってくれるメンバーも少しずつ増えてきました。 今後、新規開発プロジェクトが増えていく中で、QualiArtsとしても開発Dを育成していかなければならないという課題がありました。 しかし、育成という観点で考えると、現在掲げている役割の「開発管理」と「品質管理」という言葉だけではあまりに漠然としていて、役割の言語化ができていない為に育成しづらいという課題もありました。

開発Dが何をやっている人なのかをしっかりと示すためにも言語化をすることが重要であると考えました。 言語化にあたり、目的を以下の3つに定めました。

  • QualiArts内での開発Dの役割の共通認識をつくること
  • 「どういうことが求められるのか?」という問いに対して、受け答えができるようになること
  • 開発Dを目指すメンバーの目標設定に少しでも役立ててもらえるようになること

開発Dのミッション

言語化をする上で、各プロジェクトの開発Dで集まり、それぞれのタスクをベースにチームで求められることや必要だと感じていることを書き出していきました。 また、プロデューサー、マネージャー、ディレクターなど他職種の方々にも開発Dにどのような役割や動きを求めているのかをヒアリングしました。 上記を行った結果、開発Dが責任を持つ「開発管理」と「品質管理」を達成するためには、共通した役割や動きがあることが見えてきました。

  • プロダクト
    • 開発計画
    • 技術的判断
    • 進捗管理
    • 品質
  • 事業
    • 戦略
    • コスト
    • プロジェクト規模
    • 体制構築
  • チームや人
    • コミュニケーション、信頼構築
    • モチベーション管理
    • 目標管理

これらが重要な要素であり、全員が共通のミッションとしてもっているため、その詳細が伝わるようこれらの3つの要素を言語化しました。

言語化の内容

開発Dの役割は大きく分けて以下の5つです。

開発Dの役割

1.プロダクト開発に責任を持っている

  • リリースまでの開発計画、体制を考え、開発を牽引できる
  • 状況変化に応じて柔軟に適応し、全体スケジュールの管理ができる
    • 間に合わせるためにはどうすればいいか周囲を巻き込み遂行できる
    • 間に合わない場合、代替案を提案および議論できる
    • 最低限アラートを適切なタイミングであげられる
  • 仕様に対する技術的判断ができる。自分ができなければ知見を持っている人を巻き込み判断できる
  • プロダクトの開発に関して、リスクと効果を天秤にかけて冷静に判断できる(無理なものを無理とちゃんと伝える)
  • 品質や不具合に対する意識を持ち、リリース可否の判断をすることができる
  • 協力会社の渉外担当になれる

2.事業視点、エンジニア視点、どちらも持っている

  • 事業戦略を考える時に、技術懸念や工数などの観点からFBでき戦略および戦術をブラッシュアップできる
  • 事業としてやると決まった時に、現場のエンジニアに納得してもらった上で動いてもらえる
  • 事業の戦略、状態を理解し、体制の再構築ができる(規模拡大、コストダウン)
  • 事業の戦略、状態を理解し、インフラコスト削減や効率化などシステム面からの貢献意識を持っている

3.チームマネジメントの意識を持ち、メンバーとの信頼を築いて、チームとして最大の成果をあげる

  • メンバーと円滑なコミュニケーションをとることができる
  • メンバーのモチベーション、コンディションを把握し、能力を最大限発揮させる
  • メンバー同士の協働関係を構築できる
  • 協力会社との信頼関係を築くことができる

4.課題を見つけ、解決に向けて働きかける

  • プロジェクト内の課題にアンテナをはり、必要に応じて、担当領域以外でも解決に向けた働きかけをすることができる
  • 現状に疑問を持って問題解決・改善の動きができる

5.メンバーの育成や評価に携わる

  • メンバーの特性、志向を把握した上で、メンバーの成長を考慮した開発計画をたてる

おわりに

QualiArtsでは開発Dの役割を言語化しましたが、これらの内容を全て完璧にこなすことができないと開発Dになれないというわけではありません。 今後は、メンバーが言語化した内容を把握した上で、少しでも目標設定や自身の普段の行動に役立ててもらうことができるように、社内で浸透させていきたいです。

本稿が、ゲーム開発における組織づくりの参考になれば幸いです。

2012年にサイバーエージェントに新卒入社。その後、QualiArtsにて開発ディレクターとしてと開発に携わる