IDOLY PRIDEが魅せる初音ミクコラボへのこだわり 雪ミク編
はじめに
弊社が運用を行うモバイルゲーム「IDOLY PRIDE(以下アイプラ)」にて、2024年1月29日より「初音ミク」とのコラボレーションの第二弾を開催しております。
雪ミクやアイプラのアイドルたちが着られる新規衣装、そして今回も新規のライブの実装をしています。 詳細は公式サイトでご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてください。
第一弾のコラボでも制作の裏側を紹介しましたが、今回もさまざまなこだわりとその工夫について紹介できればと思います。
モデリングと衣装の表現のこだわり
左がコラボ第一弾で実装された初音ミク、右が今回実装された雪ミクになります。 マフラー以外は一見テクスチャの色変更に見えるかもしれませんが、実はそれ以外にも色んなところに専用の調整が入っています。
髪の毛のモデリング
まず髪の毛ですが、原作の雰囲気に合わせて毛束をシンプルな形状にしています。
雪ミクの髪は各所に雪の結晶の模様が散りばめられたデザインになっています。 以前のモデルは模様が入る想定のないつくりになっており、ここに単純に模様を入れてしまうと髪が動いたときに模様が大きく崩れてしまうため、全体的に作り直しをしています。
素材表現の調整
雪ミクは初音ミクと比較して腕や脚の装飾の素材の光沢感が強いデザインになっています。
前回の記事でも紹介しましたが、アイプラではテクスチャを使用して質感表現を行っています。 質感表現用の専用テクスチャではRGBAの4チャンネル、つまり4つの情報を管理しています。
その中でもスムースネスとスペキュラマスクを管理するチャンネルを使用して光沢感の制御を行っており、雪ミクはこのスムースネスの値を高くすることで、より強い光沢感を表現しています。
こちらの画像は光沢感の計算結果のみを抽出して描画したものです。 とくにスカートや足に注目していただくと、雪ミクの方が強く光沢が出ていることが見て取れるかと思います。
発光箇所の調整
雪ミクには初音ミク同様に袖やヘッドセットに発光するパーツがあり ます。 初音ミクの場合は発光部分近辺の下地が暗い色だったのに対し、雪ミクは明るい色なので同じ発光具合にしてしまうとより明るく見えてしまう問題があったため、意図的に発光の強さを抑えるといった細かい調整も行っています。
UVについて
3Dのモデルに対してテクスチャをどのように割り当てるか指定する座標系をUV座標、これを用いた割当方法をUVマッピングと言います。
アイプラでは撮影機能などでかなりキャラクターを間近で見ることができるので、その状態でもモデルがきれいな状態を保つため、テクスチャの解像度やUVにはと ても気を配っています。
ここまで紹介した通り初音ミクと雪ミクではモデリングでさまざまな専用の対応が行われていますが、体に関しては転用できる部分が多く存在します。ただ、マフラーが追加されているため、その分のUVを確保する必要がありました。 腕の装飾は左右対象な部分をミラーリングすることで省スペース化を行い、他にも解像度的に調整が可能そうな部分をピックアップして対応を行うことで、マフラー部分の領域を確保することができました。これにより、マフラーの雪の結晶部分も解像度を大きく確保し、きれいに表示することができるようになりました。
ライブのこだわり
振付とライブ演出
楽曲の前半では、雪ミクとLizNoirのメンバーたちが北海道での楽しいひと時を満喫している様子を描いています。ステージのモニターには町並みをイメージした映像が映し出されています。ここではあえて明確に振付を決めずにアクターさんに自由に動いていただいたことで、それぞれが自然体で楽しんでいる様子が表現できました。
この部分はイベントストーリーとのリンクも意識しているので、あわせて楽しんでいただけると嬉しいです。
ライティングは全体的に寒色を中心として冬の空気感が伝わるよう意識しながら、サビ部分ではカードイラストのライティングにあわせた色彩も取り入れることで、アイプラ全体としての雪ミクのイメージの統一と華やかな画作りを実現することができました。
また、今回の楽曲ではこれまでのアイプラにはない、ステージ自体のアニメーションに挑戦しました。 後半では雪ミクを中心にLizNoirが円形に広がるフォーメーションでダンスを展開します。このときカメラがステージの全景を捉える構図を用いることで、可動式ステージを活かした演出が一層輝くように工夫しています。
ライブの制作方法
アイプラのライブ制作ではUnityのTimelineという機能を活用しています。 キャラクターのアニメーションをはじめとして、今回の楽曲のテーマである「雪」のエフェクト、ステージやキャラクターを彩るライトなど、ライブ中に動くあらゆるものがこのTimelineでコントロールされています。
とくにライトは数も多く、手作業ですべてのライトを制御するのは現実的ではありません。そのため、実際のライブでも使用されているDMX512という規格を参考に制御用のコンポーネントを作成しています。これによってライトのグループ化や、グループ内での値の一括反映・遅延反映などが可能になり、大量のライトを省コストで制作できるようになりました。
可動式のステージは下の図のように、UnityのTimeline上でアニメーションの制作を行っています。
紹介した制御用コンポーネントやテンプレートから簡単にTimelineを作成する仕組みなど、ライブ制作におけるさまざまな効率化を行っていますが、UnityのTimelineの基本機能についてはとくに制限なく使用できるようになっているため、今回のように楽曲それぞれに合わせた自由度のあるチャレンジが可能になっています。
おわりに
第一弾のコラボに続き、第二弾となる雪ミクコラボでもイラストレーター、3Dデザイナー、テクニカルアーティストが連携し、さまざまな工夫と挑戦を行いました。
ここまで紹介したモデルのこだわりポイントは、アイドルの様子を自由に移動して撮影できる「撮影機能」や、衣装を選択して観察できる「着替え機能」で好きな角度から見ることができます。
また、この記事の冒頭で紹介した「雪ミク」のモデルだけではなく、セピア調の衣装が特徴の「雪ミク 2024」のモデルも実装されているので、ぜひゲーム内でお楽しみいただければと思います。