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QualiArtsengineer blog

QualiArtsの技術広報チームについて

QualiArtsの技術広報チームについて

7 min read

はじめに

株式会社QualiArtsでUnityエンジニアをしている住田です。 Unityのプロジェクトに従事し、並行して「CA.unity」や「技術書典」といった会社を跨いだ横軸活動の牽引、ならびにQualiArtsの技術広報をつとめております。

本記事はQualiArts Advent Calendar 2024の1日目の記事です。 今年もQualiArtsのエンジニアがUnity、Golang、組織などのさまざまな記事を毎日投稿しますので、ぜひチェックしてみてください。

QualiArts engineer blogなどの技術記事発信、技術カンファレンスでの外部登壇など、QualiArtsでは技術知見の発信を積極的に行なっています。 こうした技術広報の施策については、技術広報分科会と呼ばれる社内のエンジニア組織によって運営されています。

本記事では、技術広報分科会がどういった組織なのか、どういった取り組みを行なっているかについて紹介します。

分科会制度

分科会は、社内の技術戦略をテーマ別に決定する組織です。 Unityクライアント、バックエンド、テクニカルアーティスト、技術広報といったテーマで分かれています。そこにエンジニアのボードメンバーが分散する形で所属し、それぞれの施策を管理します。

分科会制度

以前はエンジニアのボードメンバーですべての技術戦略を決定していました。 しかし、組織が大きくなり決定すべきことが増えたことや、次の世代へと技術戦略の決定権を委譲していく狙いからこのような形をとっています。

分科会制度の狙いの詳細や、やっていることの一例が知りたい方は過去のブログの記事であるQualiArtsの2022年の技術組織を振り返るを参考にしてください。

この分科会のうち、技術広報についての方針決めや、それぞれの推進を行なっているのが本記事で紹介する技術広報分科会です。

技術広報分科会の仕事

技術広報分科会は私を含めたQualiArtsのUnityエンジニアとバックエンドエンジニアが数名集まって構成されています。中には若手のエンジニアも参加しています。 全員が主務としては開発に従事するエンジニアです。その主務の時間の合間にはなりますが、組織目線での技術施策の相談を行い、意思決定まで行います。

技術広報分科会の仕事について、大きく3つに分類して紹介します。

広報戦略の策定

まず、広報で大変なのが継続してアウトプットを続けることです。QualiArtsでは技術広報分科会というエンジニアの組織が広報の舵取りを行い、定常的な技術発信に向けた戦略とそれに基づく推進を行なっています。

「技術ブログの希望者に良きタイミングでの執筆機会を設けられないか」「次の施策の技術チャレンジ部分をまとめ、有意義な形で発信できないか」などの広報指針について、現場の開発状況の共有を行い、適切な指針の検討を行います。

戦略策定

具体的な手法はそれぞれこの後の「QualiArts engineer blogの運用」と「外部登壇機会の推進や登壇者のサポート」でも触れていますので、そちらを参考にしていただけますと幸いです。

もちろんこうした定常的な技術発信の戦略作りには、技術発信を歓迎する文化があってこそです。社内に向けてエンジニアボードの技術戦略の共有の場があるのですが、そこで技術広報の重要性を説明し、共通認識になるよう努めています。 そして技術的な発信を行う際には、しっかりと社内でも協力者の周知をし、技術評価にも連動させます。 当たり前の話と思うかもしれませんが、非常に重要なことです。

QualiArts engineer blogの運用

この技術ブログ、QualiArts engineer blogの運用はもちろん技術広報分科会で行います。 ひとつの記事が世に出るまでには、次のような工程があります。

  1. 執筆期間とレビュー期間の策定
  2. 社内の執筆者の策定
  3. 記事のレビュー
  4. サムネイル作成
  5. 記事の投稿とSNS告知

ブログ執筆のスケジュール

大体ひとつの記事は投稿する1~2か月前から投稿日のスケジューリングと執筆者の策定を行なっています。 執筆者については、開発プロジェクトのエンジニア、基盤を開発する開発推進室という部署のエンジニア、描画表現や2Dおよび3D表現のための開発を行うテクニカルアーティストにそれぞれ声をかけて執筆の依頼を行ないます。もちろん執筆意向のあるメンバーに個別で依頼する場合もあります。

特定のメンバーやプロジェクト、組織に負担がかかったりしないよう、バランスを考えながらプロジェクトや組織単位での執筆ローテーションなどの取り組みも行なっています。 ありがたいことに、積極的に協力していただける社員の方が多く、技術広報分科会としては本当に助かっています。

また、QualiArts engineer blogの開発自体は社内のWebフロントエンジニアとバックエンドエンジニア、そしてデザイナーの協力によって実現しています。GitHub上でのレビューや実際のプレビュー確認、AIによる自動推敲システム、などのエンジニアに寄り添った仕組みも特徴のひとつです。 QualiArts engineer blog自体の技術に興味のある方は、弊社の鈴木による「QualiArts engineer blogの歴史とその運用について」や弊社の高嶋による「ChatGPTを活用したブログレビューシステム」を参考にしてください。

大事なのはいかにエンジニアが扱いやすい形でブログの執筆環境を提供できるかです。その点で普段の開発環境と変わらない形でGitHub上で執筆レビューが完結することが非常に支えになっています。

外部登壇の推進や登壇者のサポート

外部登壇の機会は世の中への会社の技術認知や業界への技術貢献の意味合いで重要な要素です。QualiArtsの知見を発信できる機会を増やせるよう、機会創出の推進を行っています。

まず広報戦略の策定の部分でも前述したように、Unityやバックエンドといった各方面のイベントをキャッチアップし、社内での登壇者の募集や相談などを行っています。 代表的な例で言えば、ゲームに関する技術や知識を共有する国内最大級のカンファレンスであるCEDEC、年に1回行われるプログラミング言語Goに関するカンファレンスGO Conference、などです。具体的な登壇履歴については過去のブログ記事にて公開していますので、そちらを参考にしてください。

これらのイベントの開催スケジュールを把握し、社内の登壇ネタならびに登壇者の検討を行っています。これらはスプレッドシートに一覧化して総数や技術的な分類などを全体で把握できるようにしています。技術広報分科会には現場のエンジニアが集まっているため、現場の目線でチャレンジしている技術や開発スケジュールを把握し、イベントの内容と照らし合わせています。その中で候補が上がれば打診を行い、意向がマッチすれば案内を行います。もちろん公募も行っており、登壇に意欲のある方についても登壇への案内を行なっています。

これらの登壇機会の推進に加えて重要視しているのが、登壇自体のサポートです。 まず、大事なのが外部登壇のためのルール決めやスライド資料のベースの手配です。どのようなスライドで構成すればいいのか、会社の情報はどのように伝えるのが正しいか、プロジェクトの情報をどこまで出していいのか、こうした悩みは会社の一員として登壇する以上発生するものです。 こうした悩みを解決すべく、登壇時の情報ルールやスライド資料のベースを分科会が代表して取りまとめています。

また、スケジュール管理、スライド作成の補助や推敲、イベント主催者とのやりとりの仲介、などといったように、登壇する際に発生する細かい作業の補助も行っています。 登壇者用の進行管理や相談を気軽に行える部屋をイベントごとに作成し、そこで 主務の開発の合間に登壇資料の作成や発表練習などを行う、吸収できる部分は少しでも補助できるよう取り組んでいます。

外部登壇の資料サポート

外部登壇は業界や会社や登壇者に大きな成果を残すと同時に、大きな労力も要します。その際に「頑張った」という感想が「大変だった」という感想に勝り、気持ちよく登壇に協力してもらえるよう、技術広報分科会では努力しています。

おわりに

QualiArtsでは技術広報に注力すべく、このように技術広報分科会という枠組みを設けてエンジニア目線で戦略的な展開を行なっています。若手エンジニアの協力などもあり、主務の方がいないながらも、継続した広報体制が築けております。

また、文中でも触れましたが、定常的な技術広報の実現には広報戦略もさることながら、社内の文化がどれだけ技術広報に合致するかも重要です。全員が技術発信を歓迎し、貢献者を褒め称える、そんな文化を醸成していくことも重要ではないかと考えています。 また、文中でも触れましたが、定常的な技術広報の実現には広報戦略もさることながら、社内の文化がどれだけ技術広報に適合するかも重要です。全員が技術発信を歓迎し、貢献者を褒め称える、そんな文化を醸成していくことも重要ではないかと考えています。 今後も技術広報分科会では、本日からのアドベントカレンダーをはじめとして、QualiArtsの技術を積極的に発信していく予定です。 ぜひご贔屓にしていただけますと、技術広報冥利に尽きます。

2018年にサイバーエージェントに新卒入社。その後、QualiArtsにて新規プロジェクトのUnityエンジニアとして開発に携わる。現在は、運用プロジェクトのUnityリードエンジニアとして従事。ゲーム・エンターテイメント事業部(SGE)全体のUnityの技術促進を目的とする横軸組織「Unityコミュニティ」の責任者としても活動している。