QualiArtsの2024年の技術組織を振り返る
はじめに
株式会社QualiArts 技術担当役員の相原です。
本記事は QualiArts Advent Calendar 2024、最終日、25日目の記事になります。
今年はQualiArtsにとって大きなタイトルのリリースがありました。本記事ではQualiArtsのこの一年間を振り返ります。
前期からの取り組みと振り返り
昨年までは「骨太」をテーマに属人化を無くす動きや次世代のリーダー候補を増やす動きを行ってきました。そして「骨太」から次のステップとして開発力や技術力を伸ばすフェーズに移行しました。 昨年の動きについては「QualiArtsの2023年の技術組織を振り返る」をご参照ください。 この記事で紹介していた「AIへの取り組み」と、紹介しきれなかった「新規タイトルリリースに向けた取り組み」を振り返りたいと思います。
AIへの取り組み
前々から開発していたものではありますが、今年はたくさんの成果が出せた一年でした。
エンジニアブログでは「ChatGPTを活用したブログレビューシステム」について紹介しました。本記事もこのシステムによってAIがレビューや校正をしていて、一部そのまま提案を採用しています。
+CEDEC2024では「『学園アイドルマスター』における適応的ゲームAIとグレーボックス最適化を用いたバランス調整支援システムの実現」というAI関連セッションを行いました。CEDEC2024に関してはこちらの記事「CEDEC 2024に登壇しました」で紹介しています。
また、「人工知能学会全国大会(JSAI2024)」にて「『IDOLY PRIDE』におけるアイドル埋め込みを用いたユニット編成最適化」が全国大会優秀賞を受賞しました。(*人工知能学会全国大会(JSAI2024)において2件の全国大会優秀賞を受賞)
その他にもまだ紹介されていない、社内システ ム支援システムや開発支援システムなど、開発・導入が進んでいます。今後発表できるものがあれば、また改めて紹介したいと思います。
2024年新規タイトルリリースに向けた取り組み
昨年の記事ではまだタイトルが未発表だったということもあり、取り組みも紹介できませんでしたが、今回紹介したいと思います。
バックエンドエンジニア組織からは「ChecQ」と「ResQ」という2つの施策が動いていました。 「ChecQ」では過去のリリース経験を元にチェックリストを作り、プロジェクト外のリリース経験豊富なベテランエンジニアがチェックしていくというもので、課題を早い段階で解決できました。 +「ResQ」ではプロジェクト内で余裕がなく手が付けられない技術的負債を、プロジェクト外からヘルプに入って負債の解消を進める取り組みで、こちらも先回って事前に解決できました。
クライアントエンジニア組織からも「ChecQ」と同じく チェックリストの作成・チェックと、パフォーマンスチューニングを組織的にサポートしていく取り組みがありました。
QualiArtsでは複数のタイトルの運用や新規開発が並行で進んでいますが、リリース前には会社全体が一丸となって協力していくことで、次のタイトルリリースに向けた経験も組織に蓄積しています。
リリース後に見えた課題
リリース後はおかげさまで多くのユーザーの方々にプレイしていただいていますが、その中で見えてきた課題もあります。一番大きいのは体制面の課題でした。 ユーザーの声に比例して増える業務だったり、多くの期待から当初の想定を超える前倒し開発だったり、リリース前に想定していた人員計画よりも多くの人員が必要になりました。
「骨太」は一定完了したと昨年宣言しましたが、まだまだ足りていない部分も今回見えてきて、次のステップに向けてまた骨太な取り組みが必要になってきました。
今期のテーマ「シン・QualiArts」
+この一年で見えてきた課題や今後の事業計画から、今後数年の技術戦略が「シン・QualiArts」に決まりました。「シン・QualiArts」では3つの軸があります。
進 - これまでやってきたことを突き進む
これまでの強みの最大化と骨太施策の継続でさらなる進化を目指します。 キャラを中心とした3D表現の強化や、新規開発経験・長期運用経験を活かした基盤開発・効率化などの強みの最大化と、属人化を無くす動きや次世代リーダー候補を増やす動きをしていきます。
新 - 新しい勝てる武器をつくる
QualiArtsの新しいスタンダードになるような武器をつくっていくことを目指します。全くの新しい分野への挑戦という意味ではなく、今ある強みをさらに強化できるような相乗効果が図れる武器をつくっていきます。 既にいくつかのチャレンジが進行中で、まだ発表できませんが今後にご期待ください。
真 - QualiArtsらしさをぶらさない
これは技術戦略というよりは、戦略を考える上で大事にしていきたいことでもあります。
QualiArtsのミッションである「ずっとおもしろいセカイをつくる」にはまだまだ長い道のりがあります。 この道を進んでいくには成功や失敗の積み重ねの先にあるものと考えていて、一度の成功で次が大成功するかのような傲慢な考えを持つのも、劇的な転換を求めるのも正しくありません。 QualiArtsの強みや文化を大切にしつつ、謙虚さを持った中で、新しい挑戦にも取り組んでいきたいと考えています。
最後に
この一年間は新しいタイトルのリリースもあり、技術組織としていろいろ考えさせられる一年でした。
来期はさらに進化した新しいQualiArtsを目指して、真価を発揮できるように努めていきます。
来年のアドベントカレンダーもお楽しみに!